ハヨ旦那転職列伝・陸 〜とある転職の禁書目録〜
前回
後輩の西堀くんがいいヤツすぎてサングラスが割れた
今回は6回目です
穏やかな休日の昼下がり
ハヨ旦那は本を読んでいた。
西堀くんとの会食の際に教えてもらった本である。
これだった。
前回はイキっていたハヨ旦那だが、根は素直なので、勧めに従ってすぐ買った。
「このまま何も考えず働き続けていていいのか?」「今の会社にいていいのか?」
この本は、そんな疑問を持ちながらモヤモヤ労働しているハヨ旦那のようなアラサー男性の転職列伝形式で書かれた、タイトル通り、転職の思考法を授けてくれる本である。
この転職列伝だが、人物描写が極端なきらいがある。
「ちょwwこんな性格悪い先輩いるかよwwwワロスwww」
ハヨ旦那はツッコミを入れながら読み進めていた。
普段のハヨ旦那はヒマさえあればヤホーニュースをサーフィンしており、本などほとんど読まないのだが、そんな彼でも読みやすく、分かりやすい構成で書かれた良書であった。
「なるほど、勉強になるわね。」
この本はハヨさん(嫁)がアマゾンで買ってくれたのである。ハヨ旦那はおねだりしたのだ。なぜならハヨ家でアマゾンプライム会員なのはハヨさんの方だからである。
割と読書するウーマンだったハヨさんも興味を持ったようで、彼女も早々と読み終わっていた。ちなみにハヨさんは休日なので本宅に帰ってきています。
「こないだワークショップにも行って、本も読んで、そろそろ転職の軸は見えてきた?」
ハヨ旦那は、ハヨさんに痛いところを突かれた。
「いえ、それがまったく。わかりません。」
「わかんないの?!」
「わかりません。でもとりあえず転職エージェントには登録しました。」
「エージェントに登録したの?!」
ハヨさんは呆れ半分で驚いた。
なぜなら、先述の「転職の思考法」には、「転職の軸が固まってないうちには転職エージェントには頼るな」と思いっきり書いてあったからである。理由はご自身でお読みの上確かめていただきたい。
しかしハヨ旦那は西堀くんの勧めもあり、ゆくゆくはエージェントには登録することになるだろうと思って、早々と登録したのである。
「エージェントの主催する面接対策セミナーにも行ったよ。」
「ちょっと待って、ハヨ旦那くん。軸も決まってないのに、エージェントに誘われるまま面接の話だなんて…。そんなんじゃあやってること、新卒の就職活動の時と変わらないんじゃないの?」
「グサ!!」
ハヨさんはハヨ旦那の弱点を突くのが得意だった。
「なんていうかさ、もっと真剣に己と向き合いなよ!そんなんで大丈夫?」
ハヨ旦那はしおしおになった。
ハヨさんはこのようにハヨ旦那を激詰めした挙句、東京に帰って行ったのであった。。
そんな尊大なハヨさんに天罰が下るのに、時間はかからなかった。
その週の水曜日、ハヨ旦那のLINEにハヨさんから連絡が入った。
「たいちょうがわるい。かいしゃをやすんでいる。」
ハヨ旦那は激詰めされてもハヨさんのことを心から愛していたので、心配した。
「かわいそう。しっかりやすんで。」
ハヨ旦那は返信した。
木曜日、またもハヨ旦那のLINEにハヨさんから連絡が入った。
「きょうもかいしゃをやすんでいる。」
ハヨ旦那は激詰めされたことはもはや忘れて、とても心配した。
「かわいそう。やすんで。」
ハヨ旦那は返信した。
金曜日、またまたハヨ旦那のLINEにハヨさんから連絡が入った。
「かいしゃをやすんでいる。おうちのしょくりょうがなくなってきた。
かいものにいくげんきがないので、ウーバーイーツをたのんだ。べんり。」
さすがに様子がおかしい。
3日も休んでいるのに、家の目の前にあるコンビニですら行く元気が出ないなんて…
まさか、ハヨさんのうつ病が再発してしまったのでは?
土曜日、ハヨ旦那は愛車を5時間走らせて、名古屋から東京のハヨさんの家に向かった。
ハヨさんを連れて帰りたいが、ハヨさんは新幹線に乗る元気も無いと思っての配慮だった。
ハヨ旦那は合鍵を使って、ハヨさんの家の扉を開けた。
すると、、、
ハヨさんが弱り切って溶けているではありませんか。
「ハヨさーーーーーーーーーーーーん!!!!!!」
次回、「そしてまた詰められる」 Coming Soon...